Ma Rainey's Black Bottom [Movie & Music]
Ma Rainey's Black Bottom
Director: George C. Wolfe
Writers: Ruben Santiago-Hudson
Stars: Viola Davis, Chadwick Boseman, Glynn Turman
Source: Netflix
Runtime: 1h34min
★ 6.1
原作は、1984 年にブロードウェイで初演された、
黒人劇作家 August Wilson の出世作。
同じウィルソン作の「フェンス」の映画化で
監督&主演を務めたデンゼル・ワシントンが製作にまわり、
同作でアカデミー賞助演女優賞を受賞した Viola Davis が
主人公の Ma Rainey を演じた。
劇伴を担当したのは、サックス奏者の Branford Marsalis。
第 93 回アカデミー賞で衣装デザイン賞、
メイクアップ&ヘアスタイリング賞の 2 部門を受賞しました。
ベッシー・スミスのように評価されていない、
Ma Rainey という Blues Singer の生き様、
Blues の持つパワーと意義を通して、結局、
本作も1920 年台から続くアフリカンアメリカン
への差別問題を訴える作品でした。
ただし、August Wilson の凄いところは、
この癖の強い Ma Raineyという人物を良く見せようとはせず、
包み隠さずありのままの彼女を描いていること。
( メイクや体つきなど、どうしても「淡谷のり子」とダブってしまう、
いや、淡谷のり子は Ma Rainey を知っていて彼女の影響を
受けていたのかもしれませんが、Ma Rainey の
写真は 7 枚しか現存していないらしい )
また、当時の音楽業界は、白人がスタジオで大儲けをする。
それは、アフリカンアメリカンに歌だけ録音させ、
その対価としてギャラを支払うだけで、
レコードの売り上げへの対価は支払われない。
著作権の問題についても本作はチクリと表現しています。
そして、本作は、これらのことがほとんど、
スタジオとスタジオの地下室で語られていく。
これは、「マイアミの暑い夜」の
ホテルの部屋で延々と続く4人の会話を思い出しました。
ただし、監督は、そこにシカゴの暑い夏(実際は冬に録音されている)
を設定することで、アフリカンアメリカンの苛立ちを倍増させていく。
そして、ある物を使い、本作の主題を
的確に表現していますが、
その使い方には天晴れをあげたい。